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強溶剤2液ウレタン塗料が平滑(レベリング)にならない問題

先日、お客様から「自動車に塗装したが塗膜が何か凹凸している。波うってるように仕上がる」とご相談を受けました。強溶剤の2液ウレタン塗料を塗装されており、黒色でした。

確かに波うっているように見えるため、艶有の塗膜だと反射して自分が写るように見えるのですが、少し波うっているため自分が少し歪んで見えます。

様々な要因が考えられます。

例えば希釈したシンナーが規定の量より少ない。これだと塗料が伸びにくくなるので平滑(レベリング)になりにくくなります。

あとは季節に応じた適切なシンナー。大きく分けると春・秋用 夏用 冬用があります。

春・秋用のシンナーですと乾燥時間は標準、夏用シンナーですと乾燥が遅くなります。暑くて塗膜の乾燥が早くなり平滑(レベリング)になる前に固まってしまいます。冬用シンナーですと逆に乾燥は早くなります。

ですが、こちらのお客様は10月に塗装され春・秋用のシンナーを使用。測って希釈されており、規定量内のシンナーの希釈量でした。

硬化剤の量が規定量より少ないとかも考えましたが、少ないと固まらないのでレベリングはするはずですし波うつことは無いはず。

塗料が古いのか?と製造日を確認したところ2022.1月製造となっていました。油性の塗料は種類にもよりますが保管状況が暑いところで保管しておくと塗料自体の粘度が上がりやすいです。

夏を超えていたのでその可能性もあるなと思いました。

粘度が上がると当然塗膜も平滑(レベリング)になりにくくなります。

メーカーに相談し塗装された塗料を検査していただきました。ですが粘度、塗料自体共に正常と言う結果でした。

では、何がだめだったのか。

ズバリそれは・・・塗膜の膜厚でした。少し実験をしてみましたのでそれをお見せいたします。

実験は実際にお客様が使われていた塗料を使用。シンナーもお客様と同じ希釈率。硬化剤は5対1の強溶剤2液ウレタン塗料ですのでその通りに入れました。

まずは塗膜10μ(ミクロン)~20μの板です。

天井に反射している蛍光灯を見ていただいても分かる通り塗膜がボコボコしているのがわかります。窓の枠等も艶消しみたいになっているのがわかります。塗膜はザラザラです。

次に30μ~40μです。

お客様の自動車に塗装されていた塗膜に近い感じでした。少し塗膜が波うっているように見えるのがお判りいただけますでしょうか?蛍光灯や窓の枠もくっきりとは映っていません。

確かに少しボコボコしているように見えます。

最後に50μ~60μです。

いかがでしょうか?蛍光灯もそして天井の模様がはっきりと見えます。波うったりボコボコした感じもございません。ちなみにですがクリヤーも塗装していません。

自分の携帯電話の形もはっきりと映っていて綺麗に仕上がりました。

メーカーさんの見解ですが、膜厚が薄すぎると最初に捨て拭きをした塗膜のボコボコを隠し切れなくて見た目が波うっているように見えるとのこと。

また吹き付ける塗料が少なすぎると塗料が平滑(レベリング)になりにくく、ボコボコしたまま固まってしまうケースが多いとのことでした。

強溶剤の2液ウレタン塗料に関わらず、塗料全般に言えることだと思いますが、塗料を垂れないようにしっかりと塗りこみ膜厚を付けて綺麗に仕上げたいですね!

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