前回に引き続き、「耐火テクト施工技術研修会」における実技の部分をご紹介します。
研修会では午前中の座学の内容を、午後からの実技で体験、体感し身に着けるような流れでした。
「耐火テクト」は前回説明した通り2液混合型の耐火塗料になります。
この2液混合というところがポイントであり、現場塗装ではきちんとした管理が必要です。
(ベースと硬化剤を重量比で5.5:1で正確に配合)
まず実技の研修で関西ペイントから紹介されたのが、耐火テクト専用塗装機です。
この専用塗装機は本体サイズが2.5m×1.5m×高さ1.5mほどあり、現場で使用する際にはトラックの荷台などに
据え置いて使用する形になります。
この塗装機の優れているところは、ベースと硬化剤を別々に充填し本体から伸びたホースの先端部分で混合される
という点です(混合比は調整可能で、耐火テクトの場合は重量比5.5:1で正確に混合されるようにセットします)。
また、使用後の機械の清掃においても、混合されたところから先の部分にシンナーを通して清掃すればよいため
清掃の時間も大幅に短縮され、ホースに残る塗料のロスも低減できるというメリットがあります。
ホースの先に付くガンはエアレススプレーガンに似た形状で、さらに耐圧性を持たせた専用品になります。
(ガンの操作はエアレススプレーガンのように使えます)
この機械を用いて、参加された各塗装店の職人さんが実際に耐火テクトを塗装されました。
私は後ろで見ていたのですが、操作性も良さそうで、通常のエアレス塗装をされているように見えました。
ただ塗装された職人さんに聞くと、ガンに圧力が掛かるため膜厚を付けようとすると塗装した部分が波打つような
状態になり、膜厚を付けながらきれいに仕上げるのが難しいという感想でした。
その他には関西ペイント耐火テクト管理部の方が、1m角ほどの1枚のコンパネに端から膜厚1mm~6mmまで6通りの
厚みを付けるという塗装をされました。
これにより1回でどれぐらいまで膜厚が付けられるか、どのぐらいの膜厚でタレてくるのかなどを見せてもらいました。
想定では1回の塗装で5mmの膜厚が付けられることになっており、実際に塗装された面を見ても4~5mmまではほぼタレも
なくきれいに仕上がっておりました。(6mmになるとタレたり、仕上り肌が悪かったり不具合が出てきていました)
これまでの1液耐火塗料が1回の塗装で0.5~1mmの膜厚だったことを考えると、今回の耐火テクトは大幅に工期短縮が見込める
塗料だと強く感じました。
ただしこの専用塗装機は価格が非常に高額であること、据え置きタイプのためこの機械用にトラックやバンが必要に
なることなどから、まだ全国で数台しか導入されていないそうです。
現状実際の塗装現場では、今まで1液耐火塗料の塗装で使用していた圧送式の塗装機が主流になっているようです。
(その場合は、事前に重量比5.5:1で材料を混合する工程が必要です)
最後に実際にベースと硬化剤を混合するところを見ましたが、きちんと撹拌機を使用して混ぜないと混ざらないぐらい、
ベースと硬化剤の粘度の差がありました。
(特にベースの粘度が非常に高く膜厚を付けてもタレにくいのはこの粘度があるからだと、実際見て感じることができました)
今回の研修会では、今後主流になるであろう2液型の耐火塗料を座学と実技の部分で勉強させていただきました。
今後耐火塗装は学校や商業施設、宿泊施設などの新設工事において、特に意匠性が重視されるような場所で引き合いが増えてくると
思われます。
当社としても全面的に塗装店様をバックアップできるよう、今回の研修会の内容を大いに活かしていきたいと思います。